専門看護師・認定看護師・認定看護管理者

専門看護師の活動事例紹介

軽部 奈弥子さん 慢性疾患看護専門看護師 

カンファレンス風景

所属施設

国際医療福祉大学成田病院・脳神経外科内科病棟
慢性疾患看護専門看護師 2019年認定

国際医療福祉大学成田病院
成田空港から車で約15分の所に位置し、地域医療のほか、国際的な医療ニーズにも対応した新病院、2020年3月に開院。
病床数: 642床  (順次開床中)
専門看護師1名、認定看護師 10 名

資格取得までの道

2012年脳卒中リハビリテーション看護認定看護師を取得後、主にStroke care unit(SCU)で脳卒中急性期看護に従事した。経験の中で根拠に基づく実践をより増やしたいと考え、研究と専門的実践を学ぶことができる専門看護師へのステップアップを考えた。2016年聖路加国際大学大学院看護学研究科ニューロサイエンス看護学上級実践コースに入学、2018年修了、2019年資格取得。

活動紹介

現在、2021年4月に開床した脳神経外科・脳神経内科病棟の管理と専門看護の実践を行っている。病棟オープンに向けての準備や開床後の病棟運営は、これまでの知識と経験・実践を生かすことができる貴重な経験となっている。また、専門看護師の活動基盤となる実践やコンサルテーション、調整などの体制構築に取り組んでおり、その活動の一部を紹介する。

現在1回/週に医師、リハビリテーションスタッフ、MSW、病棟看護師とともに脳神経外科カンファレンスを行っている。画像から病態と患者の症状をアセスメントし、リハビリでの評価と実施内容、病棟でのADL等退院支援に向けた情報共有を行っている。リハビリの場面では歩行距離が伸びていても、病棟では車いす移動であったり、見守りが必要であるなど、運動能力の評価と実際の動作との乖離がみられることがある。その場合は、移動の際の問題点を共有し、なぜ見守りが必要なのか、どうしたら自立につなげられるかなど、具体策を導き問題解決につながるよう他職種と協働して患者の日常生活の再構築に取り組んでいる。看護場面では、根拠のあるケアの導入を目指している。脳卒中急性期から麻痺側を動かすことで運動機能回復が促進されるといった神経可塑性の知見は、自身の専門看護師の実践として追及した学びであり、日常生活場面で麻痺側の動きをどのように取り入れていくか、知見を活かした看護実践が基盤となるような取り組みと研究を続けている。
また、当院は急性期病院であるため、転院または自宅退院が可能かどうかなど、療養先を見極めることも重要である。カンファレンスでは、患者や家族の意向を基に、回復の経過と残存する症状、患者と家族を取り巻く社会的環境も踏まえて退院支援に取り組んでいる。脳卒中や脳腫瘍術後の退院支援は、その疾患の理解だけでなく、症状による影響を予測して介入することが必要であると考えている。特に、患者自身も自覚することが難しい高次脳機能障害や記憶障害、失語症など、実際に接しないと気付きにくい症状のある患者家族には、日常生活での対応や介助方法、介助量など言葉で伝えきれない状況をいかに伝えられるか、コロナ禍の現状では、ガラス越しで患者の様子を見てもらったりコミュニケーションをとれるような機会を作ったりなど、これまで以上に工夫して対応している。
また、医師からは術後管理や離床の際に必要な情報提供だけでなく、実際に入院している患者の病態を中心とした勉強会の実施にも協力を得ている。病態の勉強会後は、その看護をテーマとした勉強会を実施することで看護師の知識を深め、病態と看護実践がつながるよう医師と協働して教育体制の基盤づくりに取り組んでいる。
 
意思決定支援など、倫理的場面に関わることも多い。脳血管疾患や脳腫瘍の手術後に化学療法や放射線療法が必要となり、全人的苦痛が生じている事例や、神経難病と診断され、今後長い経過を病いとともに生きること、または余命が告げられる事例など、患者・家族は様々に意思決定が求められる。患者と家族の意向が異なる場合や医療者との認識の相違など、複雑な事例では倫理的な調整が必要となることもある。このような倫理的事例では、患者・家族を中心とした深い理解が必要となるため、専門看護師としてのアセスメントも含めて医療者側で情報共有し、可能な限りその意向に沿えるよう地域を含めた他職種と協働して課題の解決を心がけている。今はその体制構築に取り組んでおり、他職種に専門看護師としての役割と活動を認識してもらうよう努め、調整役として求められるよう組織の中で基盤を作っている。

所属施設上司等から受けた支援

専門看護師の資格取得後も、組織内だけでなく、講師や学会での発表の機会など院外での幅広い活動を続けることができている。専門領域での研究も続けることができており、活動の励みとなっている。

上司からのメッセージ
伊藤 淳子さん(国際医療福祉大学成田病院 看護部長)

当院は、2020年3月に設備や備品がまだ準備できていない中、国内でのCOVID-19患者対応のため国の要請により、前倒しで開院しました。今後の予測不能な状況での専門看護師としての活動開始は、困難なことも多く、何から始めたらいいかもわからず不安も大きかったかと推察します。
新規病棟の開設にあたっては、専門領域の看護の質を担保するための看護体制や業務効率を考えた設備の配置などハード・ソフト両面から整えてもらいました。すでに多職種カンファレンスの開催、看護師への現場教育の実施と活動を広げてもらっています。今後は、SCUの開設も予定されており、スタッフ教育をはじめ、患者さんの視点に立った看護の提供ができる環境を整え、今後も日本では経験できないであろうゼロから出発した大学病院での専門看護師の活動を発信していってくれることを期待しています。

(2021年7月13日掲載)

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